7/17/2008

Supernatural phenomenon

 皆様、熱帯夜が続く中、いかがお過ごしでしょうか。世の中、不思議なことというのが起こるものでございます。今日は私、怪奇現象を体験しました。事件はアメリカの、とある不気味な島で起こりました。

Hello everyone. How are you surviving the stinking hot weather? In this world, a lot of things which are beyond human being’s imagination occur from time to time. Today I have experienced the supernatural phenomenon. The incident happened on an island in America.

 その日は空に暗雲が垂れ込め、海は悲しみの色に濁り、風の音はこの世に未練を残して死んだ霊たちのうめき声に酷似していました。夏の午後、私はバンドのリハーサルのために汗だくになりながら重たいパーカッションやチェロを車に詰め込み、スタッテンという名の島へと一人旅立ちました。家を出る時に黒猫が横切り、私が履いていたゲタの花緒が切れました。その時から私は何とはなしに忍び寄る危険を察知していました。途中、通行料が10ドルもする橋を渡り、もう私には後戻りすることは許されない領域まで足を踏み入れてしまいました。1時間ほどで私は目的地のあばらやに着きました。そのあばら屋には、なぜかカラスの大群が集まっていました。私は『カラスの集まる所には死人が出る』という日本の言い伝えを思い出していました。その薄気味悪いカラスの大群は一羽たりとも声も発することなく、ただ静かに私の動向を凝視していました。その獣たちの視線のもと、私は車から降り、その押しつぶされそうな重い空気から逃れるように、早歩きで玄関までたどり着きました。そして私がドアのノブに手をかけた瞬間のことでございます。カラスの大群が一斉に『グエエエエ!ギョエエエエ!』と羽をバタつかせながら、恐ろしい声で鳴き叫びはじめたのでございます。カラスたちは何かを察したのでしょう。私はその鳴き声が恐ろしくなり、『うわあああ!』と叫びながらドアを開けました。そのあばら屋のドアの奥には、痩せぎすの東洋人の男が、驚いたようにこちらを凝視していました。そして、長い沈黙のあと、男はおもむろに私に近づき、こう悪魔の言葉を吐いたのです。

『あれ、一平ちゃん。リハーサルは今日じゃないよ』

The day was not an ordinary day. The sky was gray, the ocean was in the color of sadness and the sound of the wind was exactly like the ghost’s moaning. I was suppose to have a band rehearsal so I packed my car with all the heavy percussion and head for the island called Staten. An hour later, I arrived at the dilapidated house where we were having a rehearsal. That was where out of ordinary had happened. A skinny Asian man in the house devilishly told me something way beyond my imagination.

"Oh Ippei, what're ya doing in here? The rehearsal is not today."

 ヒイイイイ、そんな馬鹿な。カレンダーにはちゃんと今日がリハーサルだと丸が付いています。絶対に今日に違いない。いや、それならば、なぜメンバーが一人も来ていないのだ?錯乱する頭の中で、発狂寸前の私はようやく一つの結論に達し、そして理解しました。そうだ、私は地球侵略をたくらむ宇宙人に誘拐されていたのだ、と。そして時空をねじ曲げられた世界に連れて行かれたのだ、と。私の頭の中で、全ての謎が氷解しました。

Rubbish! I circled on my calendar that today was the day of the rehearsal! What the heck is going on!? It doesn't compute. The only explanation which makes sense is that I was abducted by the aliens who were planing to invade the earth and I was brought to the different time and space.

 皆様も異次元の扉を知らないうちにくぐっている可能性があるので、ご注意下さい。あと、カレンダーに丸を付ける時は、それが正しい週かどうかをよく確認してから付けて下さい。そうしないと、多大な時間と労働力を無駄にするのみならず、無性に現実逃避をしたい衝動にかられることになります。

 からすの鳴き声は、いつの間にか『アホーアホー』と変わっていました。

Everyone, watch out. You might be in the twilight zone without known. Also, be careful on putting the circle on the right week on your calendar, otherwise you will not only lose much time and labor but also will be urged to escape from the realty.

Illustration: 廃墟庭園

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